2010年03月23日

瞳を閉じてみる夢 いくつかのゆめうつつ 02

大きな道に遮られて隣町に行けない。


その大きな道は高速道路のように塀で区切られ
渡された歩道橋も途中で途切れてしまっている。

自分は渡るのを諦めて
通り沿いにあるパブに入る。

黒ビールを1パイントだけ頼んで
暗い店内に姿を紛れ込ませる。

もしかしたら、逃げていたのかもしれない。

隣の席の女達がまさに嬌声といった声で話す。
口々に「彼はベースも弾けて、何しろ格好いい」

その声をきっかけに、店の中のざわめきが自分を包み
食器やジョッキのかちゃつきや、音楽が聞こえて来る。

どうやら、生演奏が始まった所みたいだ。

鍋のふたのシンバルや、洗濯板のギロ。
トニック水の空き瓶笛や、箒のコントラバス。

てんでちぐはぐなジャグバンドの演奏。
だがそのちぐはぐさが奇天烈によい。

全部が全部、調子っぱずれなのだが
それらが混ざるとごった煮の旨さになる。

1回分のステージが終わり、チップを投げ入れる。

客たちの笑いあう声が一段と大きくなり
酒瓶もビールも売り上げを伸ばすだろう。

ベースの青年(これがきっとさっきの女達の話題の中心だろう)と
もう一人がカウンターに座り、他のメンバーもテーブルに呼ばれる。

眼鏡でなで肩でくせっ毛で神経質そうで
ひょろっと背が高くて猫背で無口な青年。

お酒も飲まずに、静かに俯いている。
自分はそろそろ店を出ることにする。

ベースの青年がその気配に気付きスツールを引く。


この街にこんな人もいたのだな、と思う。




ラベル: 音楽
posted by 08 at 17:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 瞳を閉じて見る夢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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