2010年03月26日

瞳を閉じてみる夢 あてもないのに

昭和40〜50年頃の東京の繁華街。


いくつもの掘で割られて小川が流れている。

そこをひとりで歩いている。

陽も落ちて街路灯の灯りが目立ちだす
この時間からが自分の仕事の時間だ。


始まりは去年のこと。

流行り風邪が自分には強く影響したのだろうか
治ったあともずいぶんな鼻声になってしまった。

特に支障はないので気にせず暮らしていたが、ふとはなうたを歌うと
まるで、ミュートしたトランペットみたいな声(音?)になっていて驚く。

しばらくは一人その音色のはなうたを楽しんでいたが
ある日、知り合いに聞かれて隠し芸かと褒められる。

試しに何曲か聞かせてみるとばかな評判。
ようし、これをひとつ商売にしてやろうと思い
あとはただギターの流しや新内流しの要領。


繁華街の辻辻を控えめなはなうたで歩いていると
ちょっと乙な拵えをした小料理屋の二階座敷から

「おや、トランペットの流しとは珍しいじゃないか
 おーい、ひとつ盛り上げてやってくれ」などと

気を惹かれたお大臣からお声が掛かる。

もちろんリクエストにも応えるが
やっぱり音色と曲との相性もある。

受けの良かったのは、随分とヒットもした園まりの『逢いたくて 逢いたくて』
車寅次郎演じる渥美清の名演技で国民的映画に定着した『男はつらいよ』
なんてあたり。

『男はつらいよ』の主題歌は何度か作品ごとに改詞されているが

「あてもないのにあるよな素振り、それじゃあ行くぜと風の中
 止めに来るかとあと振り返りゃ 誰も来ないで汽車が来る」

の一節に溢れる旅情、切なさ、ユーモアが好きでよくこれを歌う。

『男はつらいよ』といえば。

劇場に通い詰めて覚えちゃったもんだから「寅のアリア」
なんて呼ばれる長尺の台詞回しなんかも得意中の得意。

おまけで声色よろしく演じれば、お席は特上のご機嫌で
ぐっと多め、重めなおひねりだって飛んでくるって寸法さ。

そんなことを二度か三度すりゃあ稼ぎはもう十分だが
なかなかそうちょいちょい声がかかるばかりでもない。

寒い中歯の根も合わない程凍えても素寒貧の日もあれば
暑い中蚊に食われるだけ食われておけらで帰る日もある。

なんとか懐があったまった日には
なじみのおでん屋でちょろり熱燗。

ちんちんに燗したのを2〜3本と
味のしみた大根、がんも、玉子。

芸者衆でも揚げてる店があるんだろう
清掻き(すががき)が遠くから聞こえる。

繁華街のがやがやした賑わいが好きなんだ、と気付く。







おまけ:この記事好きです。【「東京海洋大学」:曳舟・向島に住む ブログ】

『東京海洋大学校歌』と『男はつらいよ』主題歌
二つ並べられると各々の良さが立ってきます。
どちらも星野 哲郎氏の作詞なんですね!



ラベル: 東京 音楽 歴史
posted by 08 at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 瞳を閉じて見る夢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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